演劇『サボテンの微笑み』(ケムリ研究室)を北九州芸術劇場で観劇。
兄(赤堀)と妹(緒川)の一年間のドタバタを描いたシンプルな物語で、どこか昭和のメロドラマのようなわかりやすい展開。ただ、その奥には、親から受けた影響や家庭の歪みがずっと残り続ける怖さが少しずつ明かされる。
兄も妹も思いを寄せる人がいる。兄は他の男(瀬戸靖史)の意向を優先し、妹は気を掛けてくる作家(萩原)に自分の気持ちを打ち明けるが…。
舞台はとてもシンプルで、手前の部屋とガラス窓を挟んで奥に温室があるだけ。(※写真は幕間の休憩時に撮影)。それでも、光や音の演出が細かくて、まるで映画を観ているような感覚になるのが印象的。
ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品は不条理なイメージがあったけど、今回はむしろ整理されていて、伏線もきちんと回収される。その分、逃げ場がなくて、登場人物の人生を真正面から見せられる感じがした。
萩原聖人が思いのほか良くて、そこも少し驚き。
人は簡単には環境から自由になれない。それでもどこかで「普通に幸せになりたい」と思い続けている。まさに私たちも抱える「日常のありふれた悩み」。そして、思ったようにはならないし、現実に翻弄されながらもたくましく生きていくのである。
『サボテンの微笑み』ケムリ研究室
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:緒川たまき、瀬戸康史、萩原聖人、瀬戸さおり、清水伸、赤堀雅秋、鈴木慶一

