来月は市長選挙らしい。
公約達成ということで、下関市立大学の総合大学化も上がると思われるが、その裏で何が行われていたか、当時、職員だった私から見たことを備忘録として記しておく。
なお、この件はNHKで「検証大学改革光と影」として放送された。
下関市立大学は旧市街、山の田交差点近くの大学町にある。
2023年までは経済学部の単科大学で一学年の定員は450名。
そこに、前田市長の意向で、2024年度にデータサイエンス学部、2025年度に看護学部を新設した。新設学部の定員は両学部とも80名だが、データサイエンス学部は経済学部から定員を移しているので、看護学部分の80名だけが増え、全体では一学年530名。各学部用に校舎は建設した。
さて、問題は、学部新設の前の2019年に起こった現在の韓昌完学長の採用事件である。この事件に伴って、2020年以降、当時の教員の半分以上が転籍や退官を選んだ。
では、何があったか時系列で簡単に説明する。
2019年5月30日
前田市長が理事長など大学関係者を市長室に呼び、インクルーシブ教育の取り組みの説明とともに、教員として韓昌完とその門下2名(小原愛子、太田(現在中村)麻美子)の採用を打診した。
同年6月6日
学内で教員に向けた「インクルーシブ教育に関する下関市立大学の取組について」の説明会
同年6月19日
経営企画会議で「専攻科の設置について」が議題となる
教員は規程に則った正式な手続きを経ない採用はありえないと反対。賛成する理事長らは、「採用する教員は新設する専攻科の教員であって、現在の経済学部の教員に対する採用規程には当たらない」とした。
教員を中心とする教育研究審議会の議題に「専攻科・特別の課程等の設置について」「教員の採用について」が挙げられたが、教員側委員が出席を拒み、6月中に4回流会。
同年6月26日
経営審議会に、山村重彰理事長(2019年度に副市長職から就任)による追加議題「専攻科特別課程等の設置について」が提出され承認される
このあとも教員側からは抗議が続けられた。
そして…
同年9月16日
市議会にて、大学の定款変更が可決
新しく理事会が設置されるとともに、理事会に属する理事長や学長に人事を含む権限が集中することになった。
ほとんどの教員や私のような職員には全く知らされないまま、定款変更まで準備されていた。
用意周到な計画である。
新設学部についてはまだ何も明かされていなかった。
この後、教員が次々と下関市立大学を去るのと同時に、新しい定款の元、簡易的な審査で教員が採用されていった。また、この動きに同調した教員や職員も恩恵を受けたのだった。
韓昌完については「HAN研究財団」の登記簿に当時の自民党市議が2名記述されていて、市議会でも問題になった。財団は、当時登記簿に記名され市大の経営審議会委員も勤めていた岡田氏の病院の敷地に住所があったのだが、現在は、役員も一新され京都に登記されている。岡田氏の名前は、監事として並んでいる。Googleマップに2022年として示される住所の写真は、売り地の看板の立つ空き地である。
続きと詳細はまた次の機会に。
いろいろある。